最初の仕事はくじ引きである

「最初の仕事はくじ引きである」

これは、アメリカの経営学者ピーター・ドラッカーの有名な言葉です。

原文を引用すると、このような英語で書かれています。

Your first job is like winning a lottery. It is less probable that you will land on a perfect job from the beginning

訳:最初の仕事はくじ引きである。 最初から適した仕事につく確率は高くない。

私の最初のくじは、大手化学メーカーの人事職でした。旧態依然とした大企業だったため、当時、「ここにいたら成長できないのではないか」「入社は失敗だったのではないか」いう漠然とした不安を感じながらも、「最初の仕事はくじ引きといわれているし、我慢するしかない」という気持ちで働いていました。また、周囲の「若いときの数年は差が出ないし大丈夫」という励ましからも「我慢して働くこと」を後押しされていたように思います。

ですが、その後のキャリアにおいて、スタートアップの新規事業や組織開発にかかわる中で、「くじ引きでも大吉を引く方法はいくらでもある」という結論に至りました。大手企業と異なり、優れた経営者がリードするスタートアップも増えてますし、wantedlyやSNSでいくらでも情報が入ってくる時代ですから、誰にでもよりよいくじを探し、大吉を引くチャンスはあるのです。

そこで今回は、私がお手伝いをしている会社の若手の皆さんにもお伝えしているファーストキャリアの重要性について紹介したいと思います。

  • 重要性① 「仕事観とクオリティーの基準」が決まる(長期視点)

私は、大手化学メーカーからコンサルに転職した時、コンサルの仕事のクオリティの基準の厳しさに非常に驚きました。プロジェクトにアサインされて一週間経過したときには、「自分の今までやってきたことは仕事ではない」「すべて塗り替えよう」と決意。コンサルの2年間ですべてアンラーニング(Unlearning)して、ベーススキルと考え方を再構築しました。人間はどうしても、置かれた環境の中で、「会社とはこういうものだ」「仕事とはこういうものだ」「ビジネスパーソンとはこういうものだ」という仕事観・クオリティーの基準を身に着けます。最初に高い基準を植え付ける方が、中長期のキャリアにおいては有利ですし、なにより高いプロフェッショナリズムと実行力を持つ組織で鍛えられたい経験は一生ものです。

  • 重要性② 次のキャリアの「選択肢」が決まる(中期視点)

私は友人の紹介で、人事⇒ITコンサル⇒スタートアップの立ち上げ、と大幅に職種転換することができました。しかし、それは偶然の賜物で、通常これまでの知識やスキルを生かすことが難しい異職種の転職は、通常厳しいものとなります。そして、異職種転職ができたとしても、一から新しい知識やスキルを身につけること、前の会社の基準を塗り替えることは容易ではありません。最初のキャリアによって、二歩目が決まります。中長期で構築したいキャリアがあるなら、そこに一番親和性の高い業界・職種を選ぶのがよいでしょう。また、自分に新しい世界への扉を用意してくれるネットワークがあることも重要な鍵となってきます。

  • 重要性③ 社会人としての「最初の成長」が決まる(短期視点)

20代、特に新卒の時の吸収力は目を見張るものがあります。私は、大手化学メーカーからコンサルに転職して、中途の自分より新卒の子が伸びていく姿を目の当たりにしました。大企業の10-15年目よりも、新卒コンサルの3年目社員の方が優秀だというのが正直な感想です。真っ白な状態から、吸収することに大きな力を注げる新卒の時期だからこそ、初めて就く仕事にはこだわるべきです。そして、自分が最初に体験できる成長スピードがトップレベルなのか、ミドルなのか、ボトムなのか、見極めるべきです。

自分の経験からのファーストキャリア観を述べさせてもらいました。

最初のくじ引きは、無意識に自分の考え方や行動の仕方に影響しています。それが当然役に立つこともあれば、足枷となることもあります。

キャリアのスタートダッシュを決めるためにも、引くくじは選びましょう

Posted by: Daisuke Uesaki(上崎大輔)